ORANGE SACRIFICE
-Lupin×Jigen R-18-
5塚
※冒頭に、性的暴力表現を含んでいます。
-Part3 base-
-１-
「おいルパン、顔が真っ青だぜ。大丈夫かよ」
ある盗みから帰る途中、
白亜のベンツのハンドルを握る手にも、
今日は怪我などしなかったはずだと俺はルパンの身体を見る。
マゼンタを薄めたの派手な色のスーツには、埃一つ付いていない。
「いやー…次元ちゃん、怒らないで聞いてくれる？」
「それで解決する問題ならな」
「さっきの女ボス、すげえいい女だったろ？ それでさあ、ついブチューっと、ね」
「……何か飲まされやがったな、このタコ」
今すぐ運転を変われとニュートラルにレバーを変え、
まったくこの男は美女と見ると見境もクソもなくなる。
俺は呆れながら後部座席にルパンを転がし、
アジトにしている海辺の別荘に着く頃には、
寝室に連れて行き、
「赤と白か、黄色と青か？」
バラバラと解毒用の薬をつまみ出し、ルパンの胸元へ放り投げる。
「こいつは神経にくるやつだなぁ。ピンクと白、
言われた薬を投げてやると、
「水は」
「ん、あんがと」
水を差しだしたが、
「よくもまあ、得体の知れない女とキスできるもんだな。
「あー…説教なら後に、してくれや……」
薬を飲み下したルパンは、目蓋を重そうに閉じていく。
一瞬ヤバいのかと心臓が冷えたが、
それでも俺は心配で、そのベッドから降りずにその寝顔を見る。
数時間後には、ルパンは何事もなかったように目覚め、
今日盗んだのは、
細かなダイヤが積み重なり出来上がったそれは、
「祝いは明日だな」
言いながら俺はルパンのジャケットとネクタイ、
靴は窮屈そうだったが、
そして自分にも同じことをして、その隣で眠りについた。
それからしばらくして、不意に目覚めた。
殺気を感じ目蓋を開けると、
敵がいるのかと探ったが、
「次元、怒らないで聞いてくれっか？」
「またか、なんだよ」
聞き覚えのありすぎる言葉を問い直すと、
だがそれはいつもの恋人っぽく振る舞う時の、
肉に指が食い込むほど深く、絶対に離すまいとしている。
まるで、俺は捕らえられているようだった。
「さっきの薬の飲み合わせはな、神経毒にはすっげえ効くの」
「それで？」
「副作用が、たまに出ちまう」
「……どんなだ」
俺が聞き返すと、ルパンは顔を俺の方へ向けた。
その目は見たこともないほどギラつき、
「今すぐ車のキー、車ごと海に捨ててこい」
「は？」
「いいから、早くしろ」
ルパンは俺の質問に答えないまま、
車がなければ街まで相当遠いというのに、
俺は疑いを持ちながら、屋敷の裏にベンツを転がし、
派手で重たい飛沫の音が聞こえた。
ルパンの部屋に戻ると、ドアが開かなかった。
「おい、ルパン、どうしたんだよ、おい！」
ドアを叩き、開けろとドアノブを回す。
「ルパン！開けるぞ！」
俺はドアノブをマグナムでぶっ飛ばし、ドアを蹴り開けた。
ルパンはベッドの上にいたが、またあの目で俺を見た。
「次元、どうしてそう余計なことすんだよ」
苛立った様子で俺に詰め寄り、二の腕を掴む。
「この副作用はな、出ちまうと俺様にも止めらんねぇんだ」
「だから、さっきから副作用副作用って何なんだよ！
俺が叫び返すと、ルパンは俺の腕を掴む力を強めた。
痣になりそうなそれを振り払おうとしたが、
ルパンの顔を見ると、何故か笑っていた。
「死ぬのはお前さんかもしれないぜ」
その言葉の意味が知れず、俺は言葉が出なかった。
「い、痛ぇ、離せ」
ぎり、と腕を掴みあげられて俺は抵抗した。だが、
「なんで、笑ってんだよ……」
元から興奮するとサディストの気がある方だったが、
「なんでって、楽しいからさ」
ルパンはさらりと口にした。だが、
獣みたいに荒い息で、俺を品定めするように視線で嘗め回す。
「この副作用はさ、そういうもんなんだよ」
「ば、バカ野郎…ッ、さっさと言えよ」
「そしたら簀巻きにして放っておいたのにって？ ひでえの、ふふ、お返ししてやるよ」
勝手に盛り上がり、そしてべろりと俺の首に舌を這わせる。
俺はゾッとして胸を突き返した。
ルパンと寝たことは何度もある。
だが、こんな風になったルパンを、まだ相手にしたことはない。
一体何をされるかわかったもんじゃないと俺は逃げだそうとルパン
しかしそれはいとも簡単に避けられ、脹脛を掴まれた。
「もしかして、逃げようとしてる？」
「当たり前だろ！てめえみたいなケダモノ、相手にできっかよ」
暴れると、二の腕の時と同じように指が強く食い込む。
「そう…じゃあ街の女でも襲おうかな」
おもむろに、脅すようなことをルパンが口にする。
思わず顔を見ると、それが冗談じゃないと、
「可哀想に。お前さんのせいだぜ、次元」
そしてパッと俺の脹脛を離した。車は捨ててあると言えど、
そうなったら、
俺はとっさにルパンの腕を掴んだ。
行くな、そんなことでお前の名前を汚すわけにはいかない。
「なァに、この手」
「やめろ、部屋から出るな」
「あら、次元ちゃんって女の子に優しいのね」
ふざけた口調で俺の方へ振り向き、俺の髭に包まれた顎を掴む。
そして、何も言わずベルトを外したスラックスに引寄せる。
俺は抗議することもなく、そこに口づけた。
-1-1-
「んグッ…、う、んンッ…！」
ベッドの脇で仁王立ちの脚に縋りつき、
髪を掴まれて、好き勝手に動かされる。
喉に何度も突き込まれて何度もえづいたが、
「ふふ…次元ちゃん上手だね。
「ンン、う、んぐゥ…！」
味蕾に先走りの塩気と、喉の奥に胃液の酸味を感じる。
ぜえぜえと息を継ぎ、吐き気を胃に押し戻す。
「大丈夫？ 吐きそうになっちゃった？」
いけしゃあしゃあと言うルパンが、
俺は倒れて咳き込んだが、ルパンは何も言わず俺を見下ろした。
その瞳の冷たさと言ったら、
いくら副作用とはいえ、
近しいものを見たことはあるが、それはいつも見せかけのもので、
どうする、これじゃあ死ぬのは本当に俺の方かもしれない。
だが、俺が逃げ出せばルパンは街に降りるだろう。
そして、何も知らない女相手に下衆な犯罪をする。
そんなことになったら、ルパンは大泥棒ではなく、
それだけは避けなければいけない。
たとえ俺がどうなろうと。
俺はこの虐待に耐える意味を思い出して、
「はぁ、う、くそ……！」
「どうしたの、もうギブアップ？」
ルパンは足の甲で俺の顎を持ち上げる。
「バカ言うな、こんな……遊びで」
俺はとかく、こいつに汗を掻かせなければいけないと感じた。
副作用を身体から追い出さなければ、
自分のオレンジ色のシャツを脱ぎ、胸にルパンの靴を押し当てる。
そしてそれで胸を擦り、
「おいおい、勝手に人の足で愉しむなよ。それにそんなとこじゃ、
「分かってんなら、まどろっこしいことは止めてくれよ」
「それが人にものを頼む態度？」
革靴のつま先が俺の胸から下がっていく。
まだ勃ってもいないのに踏まれ、痛みで呻く。
これではダメだ、なんとかしてルパンの方を脱がせなければ。
「ルパン…、ベッドがいい。頼む」
埃っぽい靴つま先にキスをしながら上目遣いに見て懇願する。
「いーよ、でも動くのはお前だぜ」
これ以上ない服従を見せた俺に、ルパンは満足げに微笑んだ。
それから俺の腕を乱暴に掴み上げる。
「ほら、次元」
動くのは俺、ということは乗れということらしい。
急かさないでくれと思いながら、
ルパンの上で、
そして潤滑液を取ろうと、ベッドサイドの引出しへ手を伸ばした。
「なーにしてんの？」
それをルパンが制し、俺の手首を握った。
「何って、ローション取るだけだ」
「誰が使っていいなんて言った？」
俺はその言葉に青ざめた。潤滑液もなしに解せだなんて、無茶だ。
「バカ言うな、他に何使えって…んんッ」
手首を控え、口づけられる。
まさか、それで濡らせというのか。
「次元、本当は分かってんだろ？」
「う、ふぅ…！」
もう一度深く口づけ合い、口の端からこぼれ出るまで注がれる。
慣らさないで挿れろと言われないだけ、まだマシなのか。
俺は口を離したルパンの冷たい目を見ながら、そう思った。
「ッ、ん…」
自分の口の中に指を入れ、唾液を掻き出す。
いくらルパンと数えきれないほど寝たとはいえ、
どんなに男を受けれ入れても、結局ここは膣と同じように、
いっそ自分で濡れる身体だったらどんなに楽だろうかと思いながら
痛みで息が浅くなると、ルパンはそれを楽しげに見ていた。
「痛いんだ。お前さん、
知ってるか？ お前さん、最初は蕾みたいに可愛かったのに、
それだけ使ったのに痛いだなんて、煽り上手だよな。
俺が必死になって解しているのに、ルパンは平然と話を続ける。
俺は言葉で虐められているのが分かり、少し興奮した。
そうだ、ここはお前のために使ってきた。
自分も没頭してしまうしかないと、諦めに似た感情が、
唾液が足りなくなればまた自分のものを垂らし、
「次元、まだ終わんないの？ 俺様飽きてきちまったよ」
「ヒッ、い、痛ぇ…！」
おもむろにルパンの手が俺の指を押し込み、
そして俺以外の指が入ってこようとしたのを避けるため、
「これなら、いいだろ」
そして半勃ちになっている雄にかぶりつく。
またイマラチオをされたらという恐怖はあったが、
「んふふ…しばらくはね。でも、待ってもあと三分だけだぜ」
そう言うと、ルパンは煙草に火をつけた。
俺は目蓋を閉じ、口と指先だけに集中する。
舌でルパンの雄の裏筋をなぞるように頭を上下させ、
そしてぎりぎり怪我をするかしないか程度まで開いたところで、
「はーい、時間切れ」
髪を掴まれ、口を離される。
「る、ルパン…もう少しだけ待ってくれ」
「時間切れっていっただろ」
容赦のない声が俺にぶつけられる。
ちくしょうと、心の中で悪態を吐きながら、
「は、…ぐッ…！」
唾液でも濡らしていたおかげで、
それでも無理に開いているのには変わらず、痛みで涙が滲み出る。
「る、ルパン…」
助けを乞うように縋りついたが、ルパンは答えない。
俺は助けのないまま、雄の亀頭を咥え込ませた。
それだけでも辛く、それ以上進めなくなる。
荒い呼吸を落ち着かせていると、
「面倒くさいんだよねぇ、お前」
「ひ、ルパンやめろッ…い、た…あァッ」
腰を強引に落とされて、
奥に突き当たるまでの痛みが強すぎて、俺は何度も叫んだ。
それでも許してもらえず、
「は…具合は最悪だけど、お前さんのその顔は悪くないぜ」
ルパンの唇が俺の涙をすくい、
いくら副作用のせいとは言っても、
そう考えながら俺がナカの痛みに耐えていると、
「次はお前さんの気持ちよさそうな顔、見ようかな」
口調は優しげだが、
俺は自ら痛む腰を引き、ナカを空にした。
一度強引に開かれたせいで濡らしやすいのが、嫌だった。
それからルパンの雄にも塗り込めるように扱き、再度当てがう。
「ふっ…」
潤滑液のおかげで滑りはマシになり、俺は緩く腰を振り始める。
いつもなら何でもないことなのに、
これではさっきの二の舞になると、
「はっ、あ、る、ルパン…ん…」
目を閉じ、
「いいぜ次元、悪くない」
そう言うルパンの声と、ジタンの香りがしてくる。
セックス中に煙草を吸うだなんて、無礼にもほどがある。
いつもなら、俺が怒って行為を止めるというのに。
この仕打ちに対するフラストレーションが、俺の目を開かせる。
「なあ、ルパン…」
挿入したまま、俺はルパンの首に縋りつく。
「そんなにつまんねえなら、さっさと壊してくれよ」
きゅう、と穴を締めながら、耳元で囁く。
煽ってやらなきゃ、延々とこれが続きそうな気がした。
「次元、さっきも言ったよな。それが人に、
ルパンはつまらなそうにジタンの続きを吸う。
「……頼む、壊して欲しい。ルパン、殺してもいい」
二度目の切望をすると、細い指先は灰皿へ煙草を擦り付ける。
そして俺ベッドの上へ転がした。
「ルパン…」
手を伸ばして口づけようと頭を上げると、避けられた。
どうしてだと目を見開くと、凍った瞳が俺を見下していた。
そんな目で見られることは初めてだった。
胸を刺されたかのようなショックに、言葉がでない。
「ふ、お前さん、忘れてない？ 俺が愛してるのは女だぜ」
お前みたいな男はただの玩具なんだよ、ルパンはそう言い捨て、
そして後ろから、なんの容赦もなく打ち据え始めた。
「あッ、んぐッ、あ、あぅ…！」
まるでダッチワイフのように、ルパンが俺の身体を使っていた。
普段の甘い言葉もなく、いたわりもなく、
とろけるような快楽がルパンとするセックスにはあったのに、
ただレイプされているかのようで、
「次元ちゃん、辛そうだね。俺様ゾクゾクしちまう」
ルパンは俺の心まで嬲っている。これでは、
「んッ、う、んぅッ…！」
「ふふ…お前さんはほーんと、最高の玩具だぜ、なぁ？ 穴の締まりもその顔も面白いったらねぇや」
穏やかな手のひらが俺の髪を撫で、頬に唇が当たる。
だがそれでも、ルパンは腰を打ち付けることを止めなかった。
それどころか激しさはどんどん増していき、
「は、次元、出すぞ」
「ッ、は、うあッ…！」
腰を両手で押さえつけられ、ナカに精液が弾ける。
ビクビクとナカで雄が跳ねて、
俺の雄は萎えたまま、ぴくりとも動かなかった。
「あー…気持ちいい」
ぐったりと俺の身体に圧し掛かり、
寝たのかと思うほど長く、俺は少し身を起こして振り向いた。
俺の背中の上で、ルパンはぼんやりと壁を見ていた。
「おい、ルパン、生きてるか」
「ダメ、死んじゃうかも」
「なんでだよ」
「……お前に酷いことしたから」
ルパンはそう言って、顔を隠すように俺の背筋に鼻を埋める。
どうやら正気に戻ったらしいと分かり、俺は深く息を吐いた。
「そんなことかよ」
「そんなことで済むことじゃないだろ。あー、次元ちゃん、
子どもみたいに縋りつくルパンから、俺は重いと身体を抜いた。
ベッドヘッドにもたれ、煙草に手を伸ばす。
ぺルメルの煙を肺に落とせば、冷えた心臓も少しは癒える。
「次元ちゃん、ほんとにごめん」
「うるせーな。薬のせいだったんだから仕方ないだろ」
お前に、社会的に死なれるよりマシだ。
そう付け加えて、俺は自分の脱ぎ捨てた下着を拾って穿いた。
そして忌まわしいベッドのある部屋から出ようとした時、
「……邪魔だ」
「行かないでくれよ、お願い」
「悪いが、一緒に寝られる気分じゃない」
「そこをなんとか！ 酷い気持ちにさせたまま寝かせたくないんだよぉ」
地蔵のように重い男に折れて、しぶしぶベッドに戻る。
「ありがと、次元ちゃん」
俺をベッドに寝かせ、ルパンは全身で抱きついてきた。
絶対に離さないという姿勢に、ため息を吐く。
ルパンの顔を見ると、
代わりに悪意のない、
無垢なはずなどないのに、俺はその目で見られることに弱かった。
「で」
「ん？」
「どう落とし前つけてくれんだよ」
いくら薬のせいとはいえ、
俺はピンクのジャケットを羽織ったままのルパンの襟ぐりを掴んで
「えーと…まずは、今度の獲物はぜ～んぶお前にあげる」
「それだけか？」
「まさかあ。お前さんがだーい好きなお酒、
意気揚々と言い、世界の銘酒の名前を連ねる。
「それで全部か？」
「お前さんも欲しがるねぇ。後は俺様の愛しか残ってないよ」
ルパンはふざけて言ったのだろう。
だが俺がその言葉に何も返さずにいると、
「次元」
「なんだ、ルパン」
「愛が一番先でいいよね？」
手のひらが俺の頬を優しくなぞる。
俺は手のひらに自分の手を添えて、何も答えなかった。
-２-
「次元、気持ちイイ？」
俺がそう問いかけると、次元はもどかしそうに俺を見上げた。
今はお互い裸になって、
「あ、もう…見て確かめろよ」
「んふ、それもそーね」
腹の方を見てやると、萎えたきりだった雄が硬くなり、
前立腺のあたりをゆっくり撫でてやると、
「んッ…」
「お前さん優しいね、あんなセックスの後でも感じてくれるんだ」
ローションで濡らした雄を強めに扱けば、
「ん…なあ、ルパン…次はどこで善くしてくれるんだ？」
腹のナカか？と煽るように手のひらをヘソの下に滑らせる。
それもいいけど、と俺は汗ばみ始めた身体に圧し掛かった。
「次元ちゃん、俺様は世界一のテクニシャンよ？ 俺様の得意技は腰つきだけじゃねえの」
言いながら体を下げ、骨ばった腰骨に口づける。
そして緩く噛んだ後に、
「ん、ル、ルパン…」
半周するように足の付け根部分、
その上で左右の指を乗せて軽く押し込みながら、
指を深くその付け根に抉り込ませ、
少し力を緩めては、また強く指を押し込む。
何度か、それを繰り返してやった。
「うぁ…お前、それ、なんだよ…！」
雄の根本には軽く口づけているものの、
「何って、俺様のテクの一つだよ」
「まだ隠してやがったのかよ、ン、うぁ…ッ」
「んふふ、まだまだお前さんにやってないことは沢山あるよ。
付け根の肉を揉むように指を押し込めば、
雄もだらだらと液を零し始めたのを見て、
女にするそれと、まるで変わらない行為だった。
「あ、うあ、出る…ッ」
「もちろん、いーよ」
ぐりゅ、とひと際深く舌先で抉るとびくりと腰が跳ねて、
「あ、あぁッ…う、ん……！」
「あー、かわいい。お前さんは感度がいいから、
ヘソに溜まった精液を舐めとり、含んだまま次元に口づける。
青臭く、とても美味いとは言えない味だった。
だがそれでも次元も俺も興奮して、
ごくりと次元の喉仏が下ったのを見て、糸を引く舌先を引き離す。
「さぁて次元ちゃん、次はどんなのがいい？」
「はぁ…あ、ねちっこいのは…もう十分だ」
そう言って、ついさっき乱暴に開かされた花に触れた。
赤い縁に自分の指を入れ、煽るように弄って見せる。
「俺様にさせてくれるんじゃないかったの？」
「今度はお前さんが我慢する番だ」
突っ込みたくて仕方なくなるまで、見てろ。
次元は得意げに笑って、二本の指を後ろからナカに入れた。
解す姿を当てつける気らしい。
俺が主導権を握ることが多い中、
「はぁ、ん…んぁ…まだ、痛ぇ」
「ごめんね、俺様のせいで」
「別に、謝れって言ってないだろ」
少し前に俺が出した白濁とローションのぬめりをぐちゅぐちゅと襞
答えて俺から舌を入れると、
「んん、ッ、…はぁ、ルパン…」
いつのまにか薬指までナカに差し込み、
そのナカに潜り込んだ時の快楽を思い出して、俺の雄が反応した。
「なあ、ルパン…」
「なあに？」
「息、荒いぜ」
興奮で俺の鼓動が高鳴っていたのを指摘してから、指を引き抜く。
「俺のナカって、そんなにイイもんなのか？」
「ああ、そりゃあもちろん…イイ、っていうか、
俺はもう自分の雄を掴んで、そこに擦り当てていた。
早くこの肉のナカに入りたい。
そんな明け透けな欲情を示すと、穴の縁もきゅうとヒクついた。
「なんだよ、はっきり言えって」
くすくすと笑った次元が焦らすように俺の肩を掴み、
「じゃあ、聞き逃さすなよ？」
わざわざ言うのも野暮な気がするが、
「ッ、あ、ルパン、待て、ま…あ、ぁあ…！」
ずぶ、と切っ先を咥え込ませ、ゆっくりとナカに押し入っていく。
無理やり突っ込んだ時と、肉の絡みつき方がまるで違った。
「くそ、いいって言ってねえだろ、う…」
「んふふ、ごめんね。こうしなきゃ説得力ないかと思ってさ」
「別に、疑ったりしねえよ」
「そう？ それならいいけど…あー、やっぱりすげえ気持ちイイや」
ぶるりとナカの熱さに身震いし、ため息を吐く。
奥に腰を進めると、雄をみっちりと包む肉はそのままに、
女のモノとは違うし、
俺の場合、
だが、
この感触以外の、次元だからそ感じる、
「すげえイイ、次元。お前と俺が繋がってる感触がするよ、
息を荒くした次元の顔を見つめ、綺麗に染めた茶色い髪を撫でた。
濃いブラウンの瞳は何も言わずに口元を薄く開く。
口づけてやりたくなれば、直ぐに唇を落とす。
会話も忘れてキスに夢中になって、俺は次元の髪を乱し、
「ん、ルパン、ふ、ん」
「挿入ってるだけでお前もたまんないでしょ？」
動いていないのに次元の雄が腹の間でぴくぴくと反応をしているの
間近な瞳を見つめれば、涙の膜がもう厚くなっていた。
「ねえ、次元ちゃん、ここがどれだけ気持ちイイか、最後まで聞…
言葉を紡ごうとした俺に乱暴に次元が食らいつき言葉を止める。
「はっ…ルパン、もういい、いらねえ…」
もう自分が我慢できない。そう言う代わりに腰を揺らし、
こっちの理性のことなど欠片も考えていない淫猥さに、
「ッ、あ、んぁ、あっ…！」
逃げないようにがっちりと骨盤に親指を引っかけ、
雄の出し入れの度、
ガチガチに勃起した亀頭が、
「はぁ、次元…」
ふと次元の顔を見れば、
次元が俺の快楽の感触を知らないように、
だが、この情欲の坩堝に飲み込まれていく速度は同じだった。
「んんッ、ルパン、ルパン……」
「ん、なーに…？」
ギシギシとベッドのスプリングが鳴いている最中、
「さっきの方が、激しかった」
硬く節くれた指は煽るように脈打つそこを確かめた。
そして快楽に溶けた熱い視線で俺を見つめ、指を顎の下へ伝せる。
「お前が、本当はああいう方が好きだっていうんなら、いいぜ」
玩具みたいに乱暴にして、壊れるまで離さないでくれよ。
そう言葉を続ける次元は、ナカの感触がよっぽどイイのか、
平凡な男ならこの淫魔みたいな誘いにまんまと乗って、
「どこの世界に、恋人を玩具みたいに抱きたがる奴がいるんだよ。
言葉の証に、優しく頬に唇を寄せ、リップ音だけを立てる。
あんまりな扱いをしたせいで、
そう思えば、罪悪感がじわりと心の尾を掴む。
「…あ、はぁ…バカ、なんでお前が気にしてんだ」
「だぁってさ…お前って底抜けに優しいんだもん。
律動を止め、背中に腕を回して抱きしめる。
「なんだ、自覚ないのか。お前さんは結構酷い男だぜ」
ふふ、と喉の奥で笑い、俺の頭を抱える。
「あれま、そうなのけ？」
「ああ、世界一酷ぇさ。
「ふは、それはそうかもね」
次元が俺の頭に手を添えて、
腰もそれに合わせて深く次元の脚を押し開いた。
「はぁ、ん、ルパン、めちゃくちゃになりたい」
「あー…もう、煽んなって」
言葉ともに、下半身の互いの濡れた皮膚が擦れた時、
膝の裏に指を入れ、上に押し上げて次元の身体を持ち上げる。
深い場所まで挿れてやれるようにしたその体勢で、
奥の突き当りで蠢いているポルチオに向かって雄を突き込むたび、
次元の引き締まって無駄のない身体の肉が、
突き込む度に爪がシーツを掻き抱くのを見て、
「うぁ、ま、待…て……ッ、ひ、〜〜ッ！」
びくびくと身体が奥に届くたびに跳ね、
先にイってしまわないようにだけ集中するだけで精いっぱいなほど
「アッ、は、る、ルパンッ、んぅッ…いい、かげ、ま、待て…！」
「ん？ イきそ？ いいよ、いつでも」
「ふぁ、あぅッ、ちが、あ、う……」
戸惑うように言い、俺の肩を掴む。何事かと下半身を見ると、
しかもそれは透明で水っぽく、どう見ても潮を吹いた後だった。
「あー…悪い、気持ちよすぎて気づかなかったみたい」
「く、そ…反省する気あんの、かよ…！」
ナカでイった後も犯され続けたせいか、
赤い顔で睨まれると怒っているようにも見えた。
だが、
「あるって…でも、
「ひ、あ、何、す」
「黙ってないと舌噛むぜ」
抜かずにうつ伏せにさせ、口を塞ぐ。
そのうえで会話なんて忘れて、
「別にアブねーことじゃないよ。隠し技やってやるだけだから、
そう予告してから、緩く抽出を始める。
挿入したばかりのように、ゆっくりと腰を引く。
亀頭が奥に近づくほど穴の収縮が回数を増やすのに少し笑いながら
それを何度も繰り返すと、
「ン、んんッ」
「分かる？ 腹ん中が蠢いてんの。お前のナカはさ、
「たまに鳴らしてるけど、お前さん気づいたことないでしょ？ こうなる頃にはいっつも半分飛んでるから」
ごぽ、ごぷ、と腹のナカで音を立てる度、次元が身体を跳ねさせ、
髪に隠れた横顔から涙が伝っていくのが見えたが、
「これさぁ…俺にはお前が孕んでる音に聞こえんだよね」
そう耳打ちすると、
「お前もそう思うでしょ？ 俺達、そろそろ恋人卒業して別のもんになんなきゃ、ダメだね」
「ぁ、あ、ル…、は、ァ…！」
返答を聞く意思もなく、
ベッドさえも微かに鳴くのほど大人しい律動でも、
俺が先ほど言った言葉のことを考えているのか、
「んっ、ん、ン…、ふ、は、ん…ッ」
「次元…」
口を塞いだまま、優しく頬に口づけた。
この掌はお前のためだという意味合いを込めれば、
「んゥッ！」
予告もなく、一度だけ強く叩きつける。
ぬぐ、と音が立ちそうなほどナカが疼いたが、
そしてまた予告もなく、激しくナカを叩いた。
「ん…、んんぅッ！」
何度かそれを繰り返すと、
不規則な刺激に怖がっているのかと思えば、
次第に激しい律動の回数を増やしていけば、
「ン、んッ、う」
離してくれと手首を握るのを感じて離してやると、
「ん、…ふ、あ、ルパ、ン…あ、ダメ…だ、んぅ…」
濡れた掌を腰に当てて擦り付けると、
「もう限界？ やめたい？」
「ちが、う……あ、だ…出して、くれ…」
限界じゃないのに俺に出せとは、どういう意味か。
それを考えた途端、興奮を超えた劣情が腰を振った。
「あぁッ、あ、あうッ、んぁ、ア…！ 」
「はッ、次元、お前さァ…どうしてそう、ッ、くそ…！」
肌を打つ破裂音が姦しく部屋に響き、
ナカがひくひくと、
俺の快楽の為に出したいという劣情じゃなく、
「はっ、あ、あ、あぐッ」
「はぁ、次元ッ、次元…じげ、ん…！」
「あッ、る、ぱっ、あァ…！」
必死になって喘ぎ続ける次元の腹に両の掌を回し、
指先を軽く曲げ、汗で滑る度に掴み直す。
そして最後に、
「～～ッ、ッ、ひ…！」
雄が跳ねる度精液を吹き、
半勃ちになるまで出し切っても抜かず、
お互い、全身が濡れたように汗だくになった。
雄をハメていたにも関わらず、
「…お、い……」
「ん…？」
「重ぇ、よ」
「ああ、愛が？ ごめんね」
意味をわざと取り違えて、汗に濡らしていた頬に口づける。
それから今日はこのまま動く気はないと伝えるために、
「は、ン、ん……あぁ……」
腹に回したままだった掌を、
―３―
朝になって、俺は年甲斐もなく赤面した。
ルパンとはあらゆるプレイをしてきたが、
バカじゃねえのか、と本気にしていた昨夜の俺をなじり、
そして気晴らしに街へ行こうとして、
潮は、また満ち始めていた。
end
※すみません。本番データが壊れてました。
若干違うところ、誤字あるかと思います。
当日はお買い上げいただき、まことにありがとうございました。
これまで現地購入の方にはプチで御礼の予定です。
よろしくお願いいたします。